研修医・学生の皆さんへ
教室員の声
佐藤 梨里子 2000年 東海大学卒
私は他大学出身で2000年(平成12年)に医師となりました。卒後10年は出身大学の耳鼻咽喉科に在籍し、その後ご縁があって信州大学耳鼻咽喉科へ来させていただき現在に至ります。
医学部の入学者数に男女差が無くなりつつある現在ですが、育児と医師の両立は大変なのは否めないです。私は3人の子育てをしながら多くの仲間に差支えられてここまできましたのでその経験をお話させていただきます。2年の前期研修を終えて、後期研修1年目の途中で1人目を出産、育児休暇を3か月取得後には現場復帰をしました。当時はまだ時短勤務制度などは無い時代、そんな言葉も知りませんでした。それでも当時の医局の先生方に支えられ子どもが1歳になるまでは当直を免除していただき、必要な研修を受けることができ耳鼻咽喉科専門医を取得することができました。2人目を出産後、現場復帰はしたものの自身の体力面と子育てから非常勤勤務という形で週3日程度3~6時間/日程度の勤務を継続、信州大学の耳鼻科へ移り3人目を出産した後も非常勤勤務という形で仕事を続けることができ、育児の手がだいぶ離れたところで常勤の勤務に復帰しました。私はもともと小児および成人の難聴、手術困難な症例に対する補聴器装用などを専門に携わっており、非常勤の勤務でいる間も医局の先生方のサポートもあり継続することができました。
現在の信州大学の耳鼻咽喉科・頭頸部外科教室では、非常勤勤務・時短勤務など子育て中の女性医師でも働けるような勤務体制ができてきています。継続して仕事をすることで医師としてのスキルを保つだけではなく、患者さんのためにより良い医療を提供するための技術向上や研究などが目指せる環境は整っています。みなさん、ぜひ信州大学へお越しください。お待ちしております!
吉村 豪兼 2007年 信州大学卒
私が入局を決めたのは耳鼻咽喉科という学問や手術手技に惹かれた、という訳ではありません。ただ臨床実習でみた信州大学耳鼻咽喉科のアクティビティや雰囲気の良さに純粋に惹かれ、「耳鼻咽喉科を究めたい」ではなく、「信州大学耳鼻咽喉科で先輩医師達と働きたい」と思ったのがきっかけです。入局後は後期研修だけでなく、基礎研究をする時期が医師には必要というアドバイスもあり、入局1年目より社会人大学院生にもなりました。先輩方のご指導のおかげで、入局4・5年目に「医学博士」「耳鼻咽喉科専門医」を取得しました。もともと研究には全く興味がなく、手術さえできればいい、と思っていた私でしたが、臨床から学べる「医療」だけでなく、研究を通して「医学」として耳鼻咽喉科に向き合う楽しさの虜になり、留学を希望しました。8年目に渡米し、2年8ヶ月の間、大学院のテーマであった「遺伝性難聴の診断」の延長である「遺伝性難聴の遺伝子治療」につき研究しました。帰国後もその情熱は冷めることがなく、日々臨床と研究に励んでいます。臨床においても自ら行った中耳手術や人工聴覚器できこえを取り戻した患者さんの喜びをみる度に、たまらない気持ちになります。
耳鼻咽喉科に限らず、どの分野もクリニカルクラークシップや初期研修の短い期間で本当の魅力が分かるはずがありません。私は「一緒に働く」ということは「一緒に生きる」ということだと思います。耳鼻咽喉科に少しでも興味のある学生、研究生の先生、ぜひ当科を見に来てください。勢いでこの医局を選んだ私ですが、その決断を後悔したことはただの一度もありません。お待ちしております!
堀 由希子 2008年 横浜市立大学卒
私が専門科として耳鼻咽喉科で選択したきっかけのひとつが、初期研修医時代に指導をして下さった女性医師の妊娠・産休育休後の復帰と活躍を目の当たりにし、その姿が憧れと共に目標になったことでした。
出身大学の医局に入局後、関連病院での勤務を経て、転居を機に2018年より信州大学耳鼻咽喉科教室へ転局させて頂きました。私生活では耳鼻咽喉科専門医取得後に妊娠・出産を経て、現在2人の子供の母親でもあります。
耳鼻咽喉科医師としての最初の数年間は恵まれた環境の中で、妊娠・出産によって仕事と生活のペースが一変する前に最低限のスキルを身に付けることに集中できました。ワーキングマザーになってからも、有難いことに医局や職場の大きなサポートの元、制限はあるものの何とか常勤医として仕事を継続しています。仕事を継続しながら、かなりゆっくりのペースながら日常診療や手術手技のスキルアップや論文の執筆、がん治療認定医取得を通じて専門知識を深める事もできました。
女性医師の歩む道は紆余曲折しながら決して楽な過程ではない事は常々感じていますが、一歩一歩が今後もやりがいを持って仕事を継続する未来につながると信じながら日々診療に従事しています。また、かつての自分がそうであったように、今度は自分自身の姿がこれから耳鼻咽喉科医としてキャリアを描く女性医師の一助になればと思います。
品川 潤 2013年 信州大学卒
学生時代に初めて人工内耳というものを知りました.“聞こえなくなった患者さんが音を取り戻す魔法のような手術”と説明を受けましたが,正直言って半信半疑でした.人工内耳は植込み後に2~3週間の期間を置いてからスイッチオンする「音入れ」という作業があります.私はその音入れに立ち会わせていただき,その様子を見学していました.傍から見ていても患者さんの緊張が伝わってきます.「本当に聞こえるようになるのかな…全然聞こえなかったらどうしよう…」そんな心の声が聞こえてくるようです.言語聴覚士さんが「では,スイッチオンしますね」と言いパソコンのキーを叩いた瞬間,患者さんが大きく目を見開き,そしてすぐにまた目を閉じ,そっと言いました.
「先生,聞こえます.嘘…夢みたい」
私はその姿から目を離すことができませんでした.頭を強く殴られ,心を大きく揺さぶられるような,そんな衝撃でした.その衝撃の余韻に酔っている私に,隣にいた教授がそっと声をかけてくれました.「いいかい,命を助けることだけが医者の仕事じゃない.耳鼻科医は患者さんの第二の人生を作ってあげられるんだ」この言葉を聞いて,私の耳鼻科医としての人生は決まりました.『ここで働きたい…』
私は自分のサブスペシャリティとして耳を選択しまだ日は浅いですが,患者さんの第二の人生をつくるお手伝いができたらと思い,日々診療に励んでいます.
一度失われた患者さんの人生を取り戻す医療,あなたも一緒にやってみませんか?
堀 賢太朗 2017年 信州大学卒
現在私は後期研修医として、耳鼻科専門医へむけて勉強しています。日々の診療の中で、耳鼻科に感じる魅力をみなさんにお伝えします。
私は学生時代から小児医療に携わりたいと考えていました。耳鼻科では花粉症や中耳炎、睡眠時無呼吸(いびき)、そして当科の特色でもある難聴治療など、多方面で小児の治療にあたっており、私の日々のやりがいの一つでもあります。
そして、研修医時代から手術や検査処置など、手を動かすことが好きだった私には、耳鼻科はピッタリな科です。耳・鼻・喉(のど)は、内視鏡や顕微鏡など様々な器具を用いて診察します。日常的な一般外来でも、たくさんの道具を使いますので、私にはとても魅力的なポイントでした。当科には独自に創設したシミュレーションラボがあり、日々の診療以外でも実際の道具を用いて手技習得に励んでいます。
耳鼻科領域の手術機器も日々進化しています。現在大学では、4K画質+3D画像の機器も導入しました。自分が3Dメガネを掛けて執刀する日が来るとは夢にも思いませんでした。最先端の機器に囲まれながら診療が出来ることも当科の魅力の1つと感じます。
また、私は臨床だけでなく、大学院に入学し研究も行っています。当科では博士号を取得した先生方も多く、そうした先輩医師の手厚いサポートもあり、若手医師が研究に取り組みやすい環境です。研究に興味がある方にもお勧めできるポイントです。
最後になりますが、将来の専攻に悩んでいる方は、是非一度見学に来てください。工(たくみ)教授新体制のもと、医局設備も一新し、働きやすい環境が整っています。決して人数の多い医局ではありませんが、その分、先輩後輩の隔たりがなく、日々楽しく働いています!一緒に長野県の耳鼻科を盛り上げてくれる仲間をお待ちしています!
春日 麻里子 2018年 藤田医科大学卒
私は他大学出身ですが地元の長野県で研修し、2020年に信州大学耳鼻科へ入局しました。幼少期から耳鼻科でお世話になることが多かったので、学生時代よりただ漠然と将来の診療科として耳鼻科を考えていました。初期研修2年目に信州大学の耳鼻科で研修し、疾患の多さや専門性の高さ、対象患者さんの年齢層の幅広さ、手技や手術の種類が豊富な点などに魅了されました。
また信州大学の耳鼻科は、耳鼻科医として誇りを持って働く志の高い先生方が多く、よりよい医療を提供するために勉強・研究を重ね、努力を怠らずに切磋琢磨する医局の雰囲気にも惹かれ耳鼻科への入局を決めました。現在は日々、仲間達から刺激を貰いながら、毎日楽しく仕事に励んでいます。耳鼻科は若手から執刀医になれる手術も多く、少しずつできることが増えていくことに喜びを感じています。
まだまだ勉強中の身ですが、女性耳鼻科医として誇りを持ち働いていきたいと思っています。耳鼻科に少しでも興味を持ってくださった方はぜひ気軽に見学や研修におこしください。一緒に働ける仲間をお待ちしております!