教室案内

教授挨拶

令和6年6月で、当教室を担当させていただいて4年目を迎えました。令和5年9月16日(土)には、コロナで遅れていた就任祝賀会も開催していただきました。村上信五耳鼻咽喉科頭頸部外科学会理事長(当時)をはじめとして、各学会・委員会などでお世話になっている全国の教授の皆様、信耳会・地方部会の皆様、お世話になっている業者の皆様など約150名の方々に参列していただきました。おかげさまで教室員も増え、信耳会の先生方からのご支援も多くいただき、なんとか医局運営ができております。この場をお借りしまして、深く感謝申し上げます。

医局では、この3年間で10名の新入局の先生を迎えることができました。大学や関連病院でたくさん研鑽を積んで、今後の医局を担う耳鼻咽喉科頭頸部外科医に成長してほしいと願っています。また、短期ではありますが、東京女子医科大学足立医療センターと国立がん研究センター東病院の頭頸部外科/内科へ1名ずつ国内留学、イタリアのGruppo Otologicoへ1名の海外留学ができたことで、長野県の医療に多くの新たな技術や情報をもたらしています。今後はさらに国内外の施設との交流を盛んにし、特に研究面での長期留学を進めていきたいと思います。

臨床面では人工内耳手術は3年間で100件を超え、他の人工聴覚器手術や顔面神経減荷術も積極的に行って参りました。好酸球性副鼻腔炎に対する内視鏡下鼻副鼻腔手術および生物学的製剤による加療も開始し、多くの患者様が軽快しております。頭頸部がんに対しては、鏡視下咽喉頭悪性腫瘍手術症例が多くなってきており、新たに光免疫療法やダヴィンチによる手術も行えるよう準備を進めております。

研究面では、先天性難聴児の疫学調査に関する論文を複数発表し、また頭頸部がんに対する運動療法の効果や血液マーカーと治療予後に関する論文を発表いたしました。今後は新たな人工聴覚器治療や難聴遺伝子治療に関する基礎的・臨床的研究、頭頸部がんの空間的遺伝子発現解析に関する研究、小児睡眠時無呼吸症の簡易検査開発などを進めていきたいと思います。

教育面では、ポリクリの学生にも積極的に学会参加・発表の機会を与え、医局ではシミュレーションラボでの手術手技体験の機会を多く持ち、早期から耳鼻咽喉科頭頸部外科に興味を持っていただけるように取り組んでおります。医局内でも診療グループ内で屋根瓦式に手術指導を行っており、シミュレーションラボは術前の効果的なトレーニングに役立っています。

関連病院では、20年以上耳鼻咽喉科医師が不在であった伊那中央病院を令和4年9月から常勤化できたことが一番の大きな出来事だと思います。伊那市や駒ヶ根市を中心に木曽地方まで含めると背景人口20万人以上の地域になりますので、今後ますます地域の基幹病院として重要な役割を担っていっていただければと思っております。

最後に、地方部会行事としてほぼ毎年3月の耳鼻咽喉科月間と7月の頭頸部外科月間に講習会や市民公開講座を行い、またその内容を新聞に採録として掲載して広く県民の皆様に耳鼻咽喉科頭頸部外科を認知していただけるよう活動を行って参りました。今後も県民の皆様に良い診療を届けられるよう啓発を続けていきたいと思います。

今後も「患者さんを大切にし、耳鼻咽喉科のミライを創造する」をスローガンのもと、一丸となって診療・研究・教育そして地域医療に取り組んでいきたいと考えております。

引き続き当教室へのご指導ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

工 穣

工 穣
Yutaka TAKUMI, M.D., Ph.D.